ライザップが生まれるまで

豆乳クッキーダイエットで大成功したものの、ダイエットには皆が成功するわけではない。瀬戸社長が高校生の頃につきあった彼女のダイエットに寄り添い、成功させた経験と、その後の彼女の変化がヒントになってライザップのアイディアが生まれました。しかし、社内では反対され、採用するトレーナーにも理解してもらえなかったそうです。そうだろうなあ・・・・・。

コミット

ライザップはなぜ、結果にコミットできるのかを読みました。

著者の上坂徹さんは1966年生まれ。公式サイトがあります。2016年の本ですが、面白かった。著者がライザップを実際に2ヵ月体験し、社内を取材し、瀬戸社長のインタビューも収められています。ライザップに行ってみようと考えている方が読むとよいですね。

豆乳クッキーダイエットの大ヒット

豆乳クッキーダイエット流行りましたね。

健康コーポレーションの大きな成長のきっかけになったのは、2003年に出した「豆乳クッキーダイエット」だった。一気に年商約100億円、累計で300億円を超える大ヒット商品となった。

豆乳クッキーによって痩せるというダイエット商材だが、じつはこれがライザップ事業のヒントになったのだという。

「ご利用いただいた方にアンケートをとると、1箱あたり平均で2.2kg減のダイエットに成功したことがわかりました。それなりの結果が出るということで評価もしてもらいました。

ところが、その一方で、豆乳クッキーダイエットに挫折してしまった人もいることがわかったんです」

豆乳クッキーダイエットがヒットしたのは、水を含むとお腹の中で膨らみ、空腹の苦痛を緩和できたことだ。結果として、ダイエットに成功する人が続出したのである。

「ダイエット商品としては理に適っている商品でしたが、そうはいっても結局、ダイエットはダイエットです。大変なことには変わりがない。

とくに難しいのは、『ひとりで取り組まなければいけない』ということだと思ったんです」

2003年より少し前だったか、私が勤めていた会社でもPCが1人1台支給されるようになり、毎日画面を見る生活になりました。その頃、Yahoo!だったかgooだったかポータルサイトを開くと、一時、必ず豆乳クッキーの広告が出ていたのでよく覚えています。

おからを使っていたのがポイントでした。今はあまり見かけなくなってしまったけど、町の豆腐屋さんに行くと、豆乳を搾った後のおからがとても安く売っていました。おからは豆腐屋さんにとって不用物なのです。いいところに目をつけたなと感じていました。もちろん、後発の類似商品もずいぶん出ました。

豆乳クッキーダイエットがヒット商品になる一方で、ダイエットに失敗する人のことを考えると、昔つき合っていた彼女のことを思い出したと書かれています。

ダイエットが成功すると人は変わる

瀬戸社長が高校生の頃につきあった彼女は、150㎝で体重70㎏を超えていたそうです。彼女がダイエットすることになり、毎日のように電話して励ましていたそうです。

そして1年足らずのうちに20㎏以上のダイエットに成功したのだとか。ダイエットに成功した彼女は、外見以外も変わります。

「びっくりしたのは、彼女が痩せたことで外見以外も変わったことです。きれいにもなっていっただけではなかった。散らかっていた部屋が、整理整頓できるようになっていきました。振る舞い方、話す内容、話し方もすべてかわりました。(後略)」

大人になると鈍感になって自分は変わらないと思っていますが、子供の頃や若い頃は、ちょっとした成功体験をすると、使用前/使用後ではないですが、変わりますね。

自分のことをふり返ってもそういうことはありました。

特に外見が(よい方に)変わると、他人の接し方が変わります。筋肉質になると顔も精悍で生命力を感じるようになります。人ってそういうことに敏感だと思います。

ダイエットと、ダイエット中に励ましてくれる人と、人は変わることが、ライザップを始めるアイディアにつながりました。

しかし、世の中には、フィットネスジムもパーソナルトレーニングもすでに当たり前に存在していました。

ライザップのアイディアを理解してもらえない

いまのライザップの成功を知っているので、ライザップのようなトレーニング方法は有効だと思っていますが、始める前は、それは社員は反対しますよね。何しろ豆乳クッキーを販売していた通販会社が、ジムを始めるというのですから。

「最初は、『いまさらフィットネスジムをはじめるのか』と真っ先にいわれましたよね。ひとまず、『フィットネスジム』としてくくられてしまうわけです。

そうじゃなくて、パーソナルトレーナーがマンツーマンでついてサポートする、と説明したら、パーソナルトレーニングもフィットネスジムで普通に行われている、と。昔から行われているのに、どうしていまさらやるのか、というわけです」

ライザップではトレーナーと利用者がずっとつながっていることに意味があると考えていました。トレーニング以外の時間もです。それが食べた食事の写真を撮って報告するというやりとりです。

「これまでのパーソナルトレーナーは、食事指導をすることもないし、生活習慣に踏み込むこともなかった。でも、そこまでやらなければいけない。

単に筋トレを指導しているだけでは、本当の意味でのダイエットのパートナーにはなれない。そう考えたんです」

食事指導をしながら励ましてあげることも必要です。人によってはかなり面倒くさいと感じる人もいるでしょう。

でも、トレーナーが利用者を支えることは、ライザップの中では絶対に外せないポイントです。利用者のパートナーにならなければいけないのです。お互い人間ですから、好き嫌い、合う合わないもあるでしょう。トレーナーにはかなり忍耐力が必要です。

採用するトレーナーにも理解してもらえない

そのため、トレーナーを採用すると、トレーニングを教えること以外の仕事が多くて「?」となるのです。それまで、ジムにいる間が仕事時間だったのに、朝昼晩、食事の写真が送られてきて、最低、それを評価しなければいけないのです。ジムにいるときもそれ以外の時間でも、仕事時間になります。

「トレーナーを採用すると、まったく理解をしてもらえないわけです。それまで自信を持って筋トレをやってきた。でも、ライザップで求められるのは、そうじゃない。土俵がまったく違うわけですね。

トレーニングの力だけでなく、コミュニケーション能力も求められる。こうなると、『トレーナーとしても納得がいかない』という人が出てくる反発も少なくありませんでした」

それまでトレーナーを職業にしてきた人なら、こんな仕事は嫌だと思うかもしれません。それで、ライザップにはトレーニングとは異なる力を持った人にトレーニングのスキルを学んでもらい、トレーナーになってもらうという考えが生まれたそうです。

ライザップが始まった頃はこんな感じだったみたいです。

NOTE

ライザップのプログラムを支えるのは、トレーナーだと思いました。よいトレーナーを採用するには、待遇をよくしないとだめだろうなと思いました。

最後に著者の上坂徹さんに起きた体重以外の変化について、書いておきます。

体調がよくなり、肌の艶が出て、身体の姿勢が明らかに変わった。身体が動くようになり、歩くのが苦にならなくなった。

食生活も大きく変わった。身体に本当に必要な栄養を理解でき、食事に意識的になれるようになった。何も考えずにただ空腹を満たしていた、かつての食生活に戻ることはもう二度とないだろう。

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