「モリタクの低糖質ダイエット」森永卓郎先生の場合

森永先生のライザップ体験は命拾いだったかもしれません。健康を取り戻してよかったです。また、低糖質ダイエットはお金がかかるといわれていますが、森永先生は、週1500円の食費で乗り切ったそうです。1日じゃなくて1週間です。

バーベル

モリタクの低糖質ダイエット ぶっちぎりのデブが4カ月で19.9㎏減! を読みました。健康を取り戻すためにダイエットをしなければいけない方が読むと、希望を持てる本です。

4ヶ月で体重19.9kg減

森永先生の成果は、4ヶ月で体重19.9kg減で、69.9kg、ウエストは23cm減、肥満の基準であるBMIは25を切ったそうです。

かかった期間は、糖質オフの食事を食べ、血糖値を下げるための準備期間に1ヶ月半。本格的な低糖質食と週1回の筋トレが2ヶ月半。合計4ヶ月かかりました。

もとは身長167cmで体重は90kg以上

森永先生は、2009年12月に糖尿病と診断されました。糖尿病になってから血糖値を下げるために毎日2本の注射と毎食大量の薬を飲むことが欠かせなくなりました。

しかし、治療をしながらも、ファストフード、弁当、お菓子、糖質づけの食生活は続けていたそうです。

血糖値が高くなるとのどが渇きやすくなるそうです。しかし、森永先生の場合はすさまじい。

糖尿病が一番ひどかったとき、私は毎日5Lくらいの水分を摂っていました。

成人の水分補給は1日平均1~1.2Lとされていますから、その4~5倍の水分を摂っていたわけです。

飲んでいたのはミネラルウォーターではありません。コーラやサイダーなどの甘い炭酸飲料が主体です。それも人工甘味料が多く含まれたダイエット系のコーラ飲料ではなく、砂糖がたんまり入った炭酸飲料です。

このため、頻尿で30分でもトイレがガマンできなかったそうです。水分をジュースで摂ればよいと考えるのがすごすぎます。

1日トータルで糖質5gが目標

森永先生がライザップを始める時に立てた目標は1日糖質5gが目標でした。

控えるのはカロリーではなく糖質です。糖質が多いご飯、パン、麺類などの穀類、コーラのような清涼飲料水やジュース、お菓子やスイーツ、イモや果物なども徹底的にカットします。(中略)

今回は短期間で最大限に効果を高めたかったので、穀類のように糖質を多く含むものは一切食べないという基本方針を打ち立てました。

とはいえ、調味料などにも糖質は入っています。そこで私は1日の糖質摂取量を5g以下に抑えることを目標にしました。

「糖質」と「炭水化物」の違い

糖質について、きちんと説明してありました。炭水化物と糖質は別です。炭水化物>糖質という関係があります。

まずは「糖質」と「炭水化物」の違いについて知っておくことにしましょう。この2つは混同されやすいのですが、厳密には違うものです。(中略)

糖質+食物繊維=炭水化物

食品の栄養成分表示には「糖質」という項目がなく、「炭水化物」と「食物繊維」が表示されていることもあります。

そんなときは、「炭水化物-食物繊維=糖質」と計算しましょう。食物繊維は、ヒトが持っている消化酵素では分解されにくい繊維質です。野菜や、海藻、キノコなどに含まれています。

食物繊維はカロリーになりにくいうえ、消化も吸収もゆっくり進めて血糖値の上昇をゆるやかにしてくれるので、脂肪の合成を進めるインスリンの分泌を抑える効果があります。

食物繊維が不足すると大腸で大便をつくる機能が低下して便秘になりやすいので、ダイエット中は積極的に摂るべきです。

コントロールすべきは、炭水化物ではなく糖質なのです。

筋トレ開始まで1ヶ月半の準備期間

ライザップでダイエットする場合、筋トレがメニューに入っています。しかし、森永先生の場合は準備期間が1ヶ月半必要でした。

そのぐらい体の状態がよくなかったのです。

私は糖尿病による眼底出血や足のむくみがあり、筋トレに励むと最悪の場合、眼底出血が悪化、あるいはむくみから感染が起こり、壊死する危険もありました。

それを未然に防ぐため、プロ野球選手がキャンプインの前に自主トレするように、私も初めは糖質オフのみで体重を落としながら血糖値を下げ、眼底出血などの症状をきちんと抑えて、最低限の筋トレができるようになる下準備から始めました。

すごい、いや、すごすぎる食生活からの変化

森永先生の食生活は本当にすごい。こんな生活を過去ずっとしていてよく倒れなかったなと思います。

まずはトレーナーのアドバイスもあり、1日5食を1日3食に改善しました。人間が一度に食べられる量はほぼ決まっていますから、5食を3食にすれば摂取カロリーは自然に減ります。

私は普通の人の2.5倍(5000kcal以上)も摂っていましたから、摂取カロリーが減るといっても標準的なレベルに近づくだけですからカロリー制限とは呼べません。

また、起きている間ずっと食べ続けていたお菓子も潔くやめました。私のように糖尿病で血糖値を下げる薬を飲んでいるタイプは、糖質オフすると血糖値が下がりすぎて危険なケースもあります。

そこで低血糖になっていると感じたら、主治医の指示からすぐにアメやチョコレートを口にして血糖値を上げるようにしました。

低糖質では甘い炭酸飲料もジュースも飲みませんから、水分補給は糖質を含まない飲み物に変更します。「コーラもジュースも飲めないと死んでしまう」と勝手に思い込んでいたのですが、結果的には水でもまったく平気でした。

森永先生は、私より少し年上なのですが、よく出てくる炭酸飲料やジュースへの執着心の強さは、信じられないほどです。

もちろん、子どもの頃からよくお酒を飲むようになるまでは、私も含めてみんなジュースをよく飲んでいたのは間違いないです。しかし、1日5Lなんて訓練しないと飲めないです。

糖質制限してどうだったか?

糖質制限した人に聞くと、「イライラする」そうなのですが、大幅にカロリーダウンした森永先生は、それほど影響を感じられなかったようです。

摂取カロリーが足りないと頭がボーッとして思考力が低下するため、仕事にも差し障りがあります。でも、低糖質ダイエットではカロリーは必要以上に減らしませんから、頭がボーッとするようなことはありませんでした。

前述したように「糖質を減らすと頭が働かない」というのは俗説なのです。糖質オフすると肝臓でブドウ糖とケトン体がつくられ、それが脳のエネルギー源となるからです。

ただし、初めはケトン体にまだ脳が慣れていなかったのか、低糖質ダイエット中は反応スピードが0.1秒ほど遅れるようになった気もしますが、それも慣れてしまえば問題なく生活することができました。

便秘に悩まされる

糖質を摂らないと便秘するそうです。これは水分不足で起こるので、水分を十分にとることと野菜を食べる量を増やすことで解決できるようです。ご飯や、パン、麺類には意外と水分が含まれているのだとか。

1つは、穀類からの水分摂取が減った分、しっかりと水分を摂ることです。(中略)1日1~1.2Lを目安に水分を摂りましょう。(中略)

2つ目は、野菜の摂取を増やすことです。ニンジンやカボチャなどの根菜類を除いた葉物系の野菜に、糖質はほとんど含まれていません。

野菜のおよそ90%は水分であり、野菜に含まれている食物繊維は消化吸収されにくいため、大腸まで届いて便の量を増やしてくれます。

さらに野菜の食物繊維には、水分を吸収すると膨らむ成分も含まれるため、大腸の壁を適度に刺激して排便を促します。

週1500円の食費で低糖質の食事を実践する

この記事で、一番参考になるのはここかもしれません。低糖質の食事は一体いくらかかるのか?知りたいです。

テレビによく出る有名なお医者さんの本を読んで低糖質メニューを見たことがありますが、糖質がない分、毎日肉と魚が多く、食費がかなりかかりそうだなと思ったことがあります。

何しろ森永先生は、早くから「年収300万円時代」の本を出していた方です。ダイエットを始める前には「週1000円生活」を実践していたと書かれていました。

買い物は、月曜日の夜に、スーパーに出かけて半額以下に値下げされた見切り品を買い占め、それをもとに1週間分の献立を考えるのが基本だそうです。

ちなみに、鍋(煮る)にするかフライパン料理(炒める)にするかどちらかにしていたそうです。

豆腐を主食にする

大豆は昔から「畑のお肉」と呼ばれていてタンパク質が豊富です。大豆を食べることを基本にします。

痩せやすい体をつくるには、筋肉の分解を防ぐため、肉や魚、豆腐や納豆などの大豆食品などタンパク質の摂取を重視します。

タンパク質のなかでも断トツに安いのは豆腐です。私の事務所近くのスーパーでは、3人前はありそうな巨大な豆腐をたった30円で売っています。

ひょっとしたらアメリカ産の遺伝子組み換え大豆からつくられているかもしれませんが、背に腹はかえられません。(中略)

豆腐は安い、タンパク質が豊富、低糖質と3拍子揃っているうえに、味わいが淡白なのでご飯代わりになります。低糖質ダイエット中、私の主食は豆腐でした。

肉や魚と違って、豆腐はそのまま食べられますし、鍋料理にもフライパン料理にも適した、優れた食品なのです。

卵をたくさん使う

卵は昔からほとんど値段が変わっていません。生でもゆでても焼いても使えます。しかも、完全栄養食品といわれています。

LLサイズ(約70g)の卵は1個でタンパク質7g、糖質はわずかに0.2gです。タンパク質の量では豆腐には及びませんが、卵は「完全栄養食品」と称されており、ビタミンA、B群、E、Dといったビタミン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄分といったミネラルも偏りなく含まれています。(中略)

その昔、卵はコレステロールの含有量が多いため、食べすぎはよくないとされていました。「卵は1日1個まで」という古い教えを守っている方も少なくないと思いますが、今では健常人なら食事から摂ったコレステロールは、血液のコレステロール値にほぼ影響を与えないという事実が判明しています。

そのため日本でもアメリカでも、コレステロールの上限値は食事摂取基準から撤廃されています。

肉は鶏むね肉を使う

低糖質ブームが始まってからよく食べられるようになったと思います。私もよく買います。前はもも肉しか買わなかったのですが。皮をはがして料理します。

肉でコストパフォーマンスが一番高いのは鶏肉です。鶏肉は部位によって価格が変わりますが、なかでも安く手に入りやすいのは胸肉です。

鶏胸肉は100gでタンパク質が20gも含まれています。私の事務所近くのスーパーでは300g入りの胸肉が2パック460円で買えます。100g当たり77円です。

揚げ物は食べない

揚げ物は油を吸って高カロリーになります。低糖質ダイエットでは、油は関係がないようですが、それより油の変質を気にされたようです。

低糖質ダイエットではカロリーカットはメインではありませんが、私は揚げ物を避けました。チキンナゲットや弁当の揚げ物などは、少々面倒ですが、1つひとつ衣を外して中身だけ食べていたのです。(中略)

私が揚げ物を避けた理由は2つあります。

1つは、案外糖質が入っているからです。素材をそのまま揚げている素揚げは別として、唐揚げには小麦粉や片栗粉、トンカツには小麦粉とパン粉、天ぷらには小麦粉とデンプンからつくられる天ぷら粉といった糖質が多く使われています。(中略)

2つ目の理由は、体によくない油が入ってくる可能性があることです。(中略)

庶民的な弁当店、定食店、コンビニなどでは、安価な「サラダ油」を揚げ油に使っているところが大半です。

サラダ油には「リノール酸」という脂肪酸が多く、高温で調理すると「トランス脂肪酸」という脂肪酸も増えてきます。

リノール酸もトランス脂肪酸も悪玉であり、摂りすぎはアレルギー疾患や心臓病などの誘因になるとされています。

おもにタンパク質について書きましたが、もちろん、野菜を十分に摂ります。これは言わずもがなのことですが。

結果どうなったか

この本のよいところは、森永先生の体験だけでなく診ていたお医者さんの意見も載せられているところです。

ダイエット後、森永先生の健康状態はこのように変わったそうです。4番目の変化は、筋トレと低糖質ダイエットの特徴、タンパク質をたくさん摂ることによる影響ではないかと思います。

低糖質生活を送っている方一般にいえることかもしれません。

  1. 血糖値が改善し、投薬が不必要になり、HbA1cがほぼ正常化しました。この血糖値なら、糖尿病の合併症(網膜症、神経障害、腎症)が進む危険はかなり低いです。過去の影響はこれから出るかもしれませんし、今後血糖値が上がれば合併症が進む可能性はあります。
  2. 脂肪肝によると考えられる肝機能の数値(AST/ALT)が36/51から29/26に改善しました。ALTが高く基準値(40)を超えるのが脂肪肝によるダメージの特徴ですが、これは大幅によくなっています。肝機能の悪化を示す「γ-GTP」の値も低下しました。
  3. 善玉コレステロール(HDL)値も改善しました。ダイエット前は42と低い値だったのが58まで上昇したのは運動効果と考えられます。動脈硬化に対してより強くなったと期待できます。
  4. 尿酸値、尿素窒素は上がりました。尿酸値の上昇は、運動によって消費したエネルギー(ATP)の代謝産物、あるいはトレーニングで障害された細胞によるものと思われます。おそらく一過性ですが、腎臓で濃縮されて腎障害を起こさないよう、過不足ない水分補給が求められます。尿素窒素の上昇は、タンパク質の摂取量の増加にともなう現象かもしれません。結石の治療をされていましたので、結石リスクが残っており、脱水を起こさないように留意していただく必要があります。

森永先生の登場は見る人に元気を与えた

ライザップはなぜ、結果にコミットできるのかを読むと、森永先生を受け入れたライザップ側の話とその結果が書かれていました。

森永に決まったとき、まずライザップ医療チームのもとに、森永の状況が報告された。それを聞いて、ライザップ関係者は驚くことになる。

これはご本人がすでに語っているのでここで書くことにするが、糖尿病を患っていたほか、1日5食の食事をするなど、生活習慣にもかなり心配な部分があったからだ。

そこでライザップでは、管理栄養士やトレーナーとともに、医師、看護師も参加する専門チームを発足させた。(中略)

「森永さんの場合も、ご本人の年齢を考えても、じつはシニア層からの反響が大きいのではないかと感じてしました。ところが、そんなことはなくて、30代、40代からのお問い合わせがものすごく増えたんです。

『森永さんにもできたんだ。もしかしたら自分にもできるかもしれない。自分にもチャンスはあるかもしれない』という思いにつながったのだと思います。

森永さんがライザップを体験してくださったことで、多くの方々に勇気を与えられたということです」

森永先生の健康状態があまりに悪くて、ライザップとしても最初はどうしようかと考えたのではないかと思います。

まとめ

ライザップでダイエットし健康状態を改善するには、森永先生はとてもよいモデルだったと思います。カッコよくなる以前に、健康状態を改善しなければならない人はたくさんいます。

そのような方に、この本は最初に読む本としておすすめできます。森永先生のそれまでの食生活があまりにひどいので、きっとまだ行ける!と希望を持てると思います。

この本には森永先生が実際に何を食べていたか、2ヶ月分の記録も白黒写真とともに載せられています。

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